30年前に屋久島・白神山地が日本で初めて世界自然遺産に登録された。白神山地は青森県と秋田県にまたがるブナの原生林で、その生態が評価されて1万7000haが世界自然遺産として登録され、特に貴重な自然である1万haの場所は核心地域として立ち入りが制限されている。白神山地の自然保護は生態系を守る点では成功しているが地域振興には問題があり、秋田県藤里町では30年前は世界遺産登録をきっかけに観光客増加に期待が高まっていたが年々減少し、観光客数は2018年にはピーク時の半分となっている。2011年に観光客を増やすために地元自治体が協議会を設立し新たなツアー等や文化を伝える活動を行ったが観光客の減少に歯止めがかけられずにいた。藤里町で実働しているガイドは11人で平均年齢は63歳であり、観光客の減少からガイドの収入だけでは生活が成り立たず若いなり手がいなくなる懸念があるという。藤里町では白神山地の価値を伝える担い手を育成する取り組みを始め、週2時間小学4年制に白神山地をどう生かすかについての授業を行っている。専門家は世界遺産エリアの自然保護だけでなく遺産周辺地域の文化や食を地域振興などにどう生かすか考えていくのが大切だと話している。