秋の米国大統領選挙に向けて、野党共和党は、全国党大会の初日にトランプ前大統領を正式に大統領候補に指名した。トランプ氏の様子について、米国のCNNテレビは「いつもと違う感情を帯びていた。目には涙が浮かんでいるように見えた」と伝えている。また、ワシントンポストは「いつもと違い、控えめだったとしたうえで、演説はせず、謝意を示すにとどまったことに支持者らは驚いていた」と伝えた。米国大統領選挙に向けた共和党大会。副大統領候補に指名された上院議員のJDバンス氏。2年前、トランプ氏の全面支援を受けて、上院議員に初当選。ベストセラー作家という異色の経歴を持ち、米国第一主義を強く訴えてきた。トランプ氏が銃撃された際には、バイデン陣営の主張が事件につながったと、批判の矛先を向けた。バンス氏について、バイデン大統領は「政策課題に関し彼はトランプのクローンだ」とコメント。共和党大会では事実上の公約となる政策綱領も採択された。米国第一主義が色濃く反映されている。外交や安全保障:力によって平和を取り戻すとして、軍の再建や同盟関係の強化、中国との対抗などに取り組むと主張している。エネルギー政策:トランプ氏の“掘って掘りまくれ”ということばを引用して、化石燃料の生産を拡大して、エネルギー価格を大きく引き下げる方針を明確に打ち出している。また、バイデン政権の政策に終止符を打ち、EV(電気自動車)の普及策を廃止することなどを通じて、米国の自動車産業をよみがえらせるとしている。通商政策:外国から輸入される製品に一律で関税をかけるなどとしている。導入されれば、日本も自動車産業などを中心に、影響が出ることになる。トランプ、バイデン両政権で米国通商代表部交渉官・デビッドボーリング氏は「トランプ氏は関税が好き。貿易赤字が嫌いだ。バイデン政権は日本の鉄鋼への関税を撤廃したが再び課すかもしれない。中国への関税は引き上げるだろう」と指摘している。