中国の同化政策を避けるため、子どもを密かにダラムサラへと送る親が後を絶たない。親たちの切実な思いに背中を押されかつては毎年700人から1500人の子どもがダラムサラへ送り出されていたが、中国政府が国境警備を厳しくしたことで2015年以降その数は激減。2023年はたった4人しかダラムサラの子ども学校に入学しなかった。中国の同化政策とともに問題となっているのがダライ・ラマの後継者問題。チベット仏教ではダライ・ラマの死後、後継者は生まれ変わりを探す伝統があるが中国政府が自分たちに都合のいい「ダライ・ラマ」を擁立するのではないかとの懸念が生まれている。実際、中国政府は1995年にダライ・ラマに次ぐ高僧「パンチェン・ラマ」の「生まれ変わり」を連れ去り別の後継者を擁立している。チベット側が選び中国が連れ去った生まれ変わりの行方は現在もわかっていない。チベット亡命政府のツェリン首相は中国政府はおそらく偽のダライ・ラマの生まれ変わりを擁立するつもりだろうと指摘し「私はパンチェン・ラマの教訓から何も学んでいないのかと言いたいのです。誰も彼を尊敬していないではないですか」と語った。