地方では人口減少が加速し産業の衰退が懸念されている。そんな流れを最前線で食い止めようと今、地方銀行が動き出している。長崎・五島列島。この日、地銀の担当者が向かったのは島の特産「五島うどん」の製麺所。特徴は強いコシとのどごしの良さ。ただ味の決め手となる「乾燥」の工程で近年、課題を抱えてきた。季節や気候によって微妙な温度や湿度の管理が必要で夜中も2〜3時間ごとに起きて確認しなければならない。そこで製麺所が頼ったのが経営の相談に乗ってもらっていた地銀だった。課題を解決するため地銀がタッグを組んだのが地元のIT企業とシンクタンク。長崎では地銀がハブとなり、それぞれの専門性を生かしデジタル技術を活用して課題解決につなげる取り組みが始まっている。IT企業は最新技術を使って温度や湿度を管理する方法を提示。シンクタンクは、その技術の導入に県の補助金が使えることを伝えた。地銀からアドバイスを受けた製麺所は、これまで人が行っていた乾燥の工程にセンサーやカメラを導入。それらをネットにつなげることで、どこからでも温度や湿度を確認し調整できるようになり負担が大きく減った。こうした取り組みは各地に広がりを見せている。去年、全国の地銀9行などが中心となり「地域課題解決DXコンソーシアム」を結成。人口減少が進む中、企業の人手不足や後継者問題などに対応するためデジタル技術を活用した各地の取り組みなどを共有している。日銀が追加利上げを行い地銀を取り巻く経営環境も大きく変わってきている。人口減少の時代にどう攻めのビジネスに打って出ていくのか注目。