静岡・焼津市にあるマグロの加工工場。マグロの目利きが行われていおり、品質ごとに4段階に分類している。マルミフーズの見原治さんは、目利き歴40年の職人。マグロの尾を切って鮮度・色目・脂の質を見ながらランク付けをしている。マグロの尾には魚体の鮮度を示す「縮れ」や身の硬さを示す「締まり」など、味に関する情報が詰まっており、わずかな違いで味が大きく変わるのだ。10年ほど前から目利きができる人間が減少し、この工場で目利きができるのは見原さん一人だけ。こうした目利きを行える職人は全盛期の半数以下にまで減っていて、次世代の担い手が不足している。目利きは長年の経験と勘によって培われ、一人前になるまでに10年以上かかるという。そこで開発されたのが、マグロの目利きを行うAI「TUNA SCOPE」。AIには尾の断面と職人の判定結果を大量に学習させていて、写真を撮るだけで品質の判定ができる。その精度は90%を超えるが、判断が分かれる時も。その場合、見原さんは自分の判断を優先させている。弾力性やねっとり感は、手で触った感触でしかわからないという。