おととし軍によるクーデターが起きたミャンマーでは10月、シャン州で3つの少数民族の武装勢力が一斉に攻撃を始めた。攻撃のかげには中国の存在が見え隠れしている。少数民族側の報道官はNHKのインタビューに一斉攻撃の前に中国側から接触があったと明らかにした。中国は少数民族だけでなくミャンマー軍とも友好関係にある。さらに中国にとってミャンマーは一帯一路のルートの一つで、シャン州の国境地域は貿易の重要な中継点で情勢が安定していることが不可欠。それにもかかわらず、中国は一斉攻撃を事実上黙認したと少数民族側は捉えている。背景には中国人特殊詐欺グループの存在があるとみられる。シャン州の国境周辺に拠点があるとされ、ミャンマー軍には詐欺グループから金銭が流れていると指摘されている。国連人権高等弁務官事務所は少なくとも12万人がミャンマーで特殊詐欺に加担させられていると分析している。一斉攻撃の開始から約1か月半後、中国は自らの仲介で双方が一時的な停戦に合意したと発表した。