岸田総理大臣はきょう午後、政府専用機で韓国・ソウルを訪問する。あす4年半ぶりに開かれる日中間3カ国の首脳会議では大学同士の交流や観光を通じた人的交流を一層促進し、来年からの2年間を文化交流年と位置づけることを確認する方向。そして経済・貿易分野での協力など、会議の成果を盛り込んだ共同宣言がまとめられる見通し。参加国の首脳会議について中国外務省・汪文斌報道官は“貿易や科学技術などの分野で協力を深めたい”という考えを示した。中国としては外国からの投資が減少傾向にある中で、隣国の日本や韓国との関係を安定化させ、投資の呼び込みにつなげたい考え。一方、中国は今月発足した台湾の頼清徳政権が「1つの中国」の原則を認めない姿勢を鮮明にしていることに対し、台湾周辺で軍事演習を行うなど圧力を一段と強めていて、今回の首脳会議では「台湾は中国の一部だ」という自らの立場を明確にするとみられる。中国は台湾などをめぐって対立する米国が日韓両国と連携を深めていることを警戒していて、幅広い分野で協力することで、日米間の連携に少しでもくさびを打ち込みたい思惑もあるとみられる。3カ国の会議に先立ち、岸田総理大臣はきょう、韓国のユン・ソンニョル大統領との首脳会談に臨む予定。関係改善の流れを確かなものにするため、首脳や閣僚間の意思疎通を一層緊密にしていくことなどで一致するものとみられる。また、核ミサイル開発を活発化させる北朝鮮への対応で連携強化も図る見通しです。一方、ユン大統領はきょうの会談で、両国の関係を引き続き改善させていく考えを岸田総理大臣に伝えるものとみられる。さらに、岸田総理大臣は中国の李強首相との首脳会談も調整していて、双方が共通の利益を拡大する戦略的互恵関係の推進などを改めて確認したい考え。日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃など、両国の懸案に関する日本の立場を伝えるほか、中国による台湾周辺での軍事演習も踏まえ、台湾をめぐる問題を対話で平和的に解決することも求めるものとみられる。