東京・中野区の中野サンプラザの跡地の再開発計画は工事費の高騰などを背景に区は今後、事業者の選定などからやり直すことになった。区はその役割を受け継ぐ多目的ホールの建設を含む再開発を計画し複数の事業者から募った提案の中から野村不動産を代表とする事業者の計画を採用した。計画は当初、最大7000人を収容できる多目的ホールを作りその隣に住宅やオフィスなどが入る高さ262メートルの超高層ビルを新たに建設する内容だった。事業費は当初、1810億円を見込んでいたが工事費の高騰を受けて当初の2倍近くにあたる3500億円余りに膨らむおそれが出たため区と事業者が計画の見直しを進めてきた。野村不動産は当初の計画を変更しことし1月、採算性を確保するためビルを2棟にして住宅部分の割合を増やす見直し案を区に示したが、区議会からはまちのシンボルとしてふさわしい建物になるのかやほかの事業者が出していた案に似ているといった意見が出ていた。きょう開かれた区議会の総務委員会で区の担当者は現在の枠組みでの再開発を断念する方針を明らかにした。その理由として複数の事業者の案の中から採用された再開発計画が大幅に変更されたことで区民の利用する場所としての魅力が十分でなくなったことや事業が成立するかどうか担保できないためなどとしている。区は今後、事業者の選定などからやり直すことになり2029年度中の完成としていた再開発計画は大幅に遅れることになる。