観光地では、観光客が押し寄せ過ぎて問題が発生する「オーバーツーリズム」が深刻となっていて、各地で対策に乗り出している。富士山では去年、過度な混雑や弾丸登山などでけがにつながるといった問題が発生し、山梨県は今年7月1日から9月10日まで5合目登山口の吉田ルートにゲートを設置。午後4時から午前3時まで閉鎖し、一気に登る「弾丸登山」を防ぐほか、1日の登山者数の上限を4000人に制限し登山客の過度な混雑を予防しようとしている。さらに富士山に登るとき保全協力金1000円とは別に、7月からは1人2000円の通行料を登山口で徴収する。徴収したお金については山の中で安全誘導する指導員などに活用していくという。県は山小屋での宿泊を前提に余裕を持った計画で安全に楽しくしてほしいとしている。京都市では、路線バスが観光客でいっぱいとなり地元住民が乗車できない事態が起きている。そこで京都市交通局は今年6月から土日・祝日限定で観光特急バスを運行する。こちらは観光客向けのバスで、京都駅や清水寺などの主要な観光地を結ぶ路線となっている。本来この間に6つの停留所があるが、その区間には停まらずに行くことが出来るということで「住民が乗車出来ない」を防ぐという。更に鎌倉では、国が5月3日と4日にJR鎌倉駅や江ノ島電鉄の鎌倉駅に誘導員を配置した。観光スポットの鎌倉大仏まで徒歩で移動するよう呼びかけるなどの実証実験を行っている。文教大学の中井治郎専任講師は「オーバーツーリズムの判断基準は地元住民の利益になるかならないかとし、住民と話し合って必要な対策を講じることが重要だ」などとコメントしている。