俳句AIを開発したのは北海道大学の研究チーム。中心となった山下准教授。これまで1億超の俳句を生成してきた「AI一茶くん」。山下さんたちが短い言葉の言葉のつながりで情景を表現する俳句を通してどんな言葉が人間の心を動かすのか研究しようとしている。人間はその時の風景や感情から湧き上がる言葉で詠むが、「AI一茶くん」は松尾芭蕉などの古典・現代俳句40万句、著作権が切れた日本語の文学作品などを学習。膨大なデータから関連の高い単語を確率的に選んで俳句を生成している。季語はあるか、すでにある俳句と似すぎていないかなど、フィルターを通して作る。研究を進めてどのような俳句が人の心を打つかが分かれば将来的に感情を汲み取って人の行動を支援できるAIが生まれると考えている。さらにAIが俳句の可能性を広げると期待する人もいる。数々の賞を受賞した若手俳人の大塚凱さん。いま挑戦しているのはAIとの共作。予め大塚さんの作風を学習させたAIに途中まで詠んだ俳句を完成させる。例えば「遮断器の 先のゆらめく」までは詠んだが、4年間ほど下の句が決まらなかった。そこでAIが示した候補にあったのが「桃の花」。こうした人間の創作とAIの生成との出会いを新たな創作の楽しみにしていきたいと思っている。著作権はAIが既存の俳句を学習用データとして利用するのは認められている。「AI一茶くん」では既存の俳句とは異なるようフィルターがかかっているので著作権への配慮がされている。ただ、人間の創作とAIの生成のバランスがとれたAIとの付き合いが大事。