伊藤忠商事は麻布の行商から始まった会社で、繊維事業が祖業。そしてベトナムは世界でも有数の生産地であり輸出ビジネスが盛んな国。さらに諸外国との自由貿易協定の発行などを背景に繊維産業に設備投資が活発化しており、繊維商品の一大生産地としてベトナムの繊維産業が注目を集めている。伊藤忠商事では2015年、ベトナム国営の繊維企業グループ「VINATEX」への出資を通じた戦略的業務提携を実施しさらなる関係強化につとめている。VINATEXはベトナムの2000ドン紙幣にその工場が描かれているほどベトナムの経済成長にとって重要な役割を果たしてきた会社。VINATEXはベトナム最大の繊維企業グループであり、現在60社を超えるグループ会社と約14万人のグループ従業員を要している。伊藤忠商事はベトナム国内だけでなく欧米及び日本・中国を含むアジア地域への繊維製品の販売強化にVINATEXと一緒に取り組んでいる。伊藤忠商事事業会社による屋根設置型太陽光発電設備のVINATEXグループ工場への導入が始まった。脱炭素という側面からもVINATEXの成長を支援している。所得水準の向上などを背景に衣料品の需要も高まっているなか大手の海外アパレルが相次いでベトナムに進出している。当社は2015年、子会社を通じてベトナム有数のアパレル卸し・小売業の「KOWIL」社へ資本参加した。2023年には内需の力強い成長に着目し、追加投資を実行し持分法適用関連会社とした。KOWIL社は自社ブランドを展開するほか現在ではベトナム国内に直営を含む250店舗を超える販売網を保有している。伊藤忠商事ではリサイクルポリエステルブランド「RENU」を展開していてKOWIL社でも大々的に販売しベトナムのSDGs賞を受賞した。ベトナムの生産業では2030年までにエネルギー消費を15%、水消費を20%削減するという目標を設定しており、環境への意識が高まっている。