総選挙が行われる英国はこれまで多くの移民を受け入れてきた歴史のある国だが、その政策が選挙の争点の一つとなっている。「ルワンダ計画」は、非正規の方法で入国した人々をアフリカのルワンダへ強制的に移送するというもので、ルワンダ政府は多額の経済援助と引き換えに受け入れる予定だ。背景にあるのは難民申請者の増加。その数は、おととし、およそ10万人に上り、うち半数近くは小型ボートで海を渡るなど非正規の方法で入国しようとした人々だ。こうした不法入国を抑止するため打ち出された計画だが、今日、行われる総選挙で歴史的な大敗が予想される与党・保守党が保守層にアピールするための目玉政策にしている。一方、最大野党・労働党は選挙に勝てばルワンダ計画は取りやめ、国境警備を強化するとしていて、まさに世論を二分している。一方、英国最高裁はルワンダで難民申請が適切に判断がされず、難民が母国に強制送還されるおそれを指摘。ヨーロッパをはじめ世界各地で「移民排斥」の動きが広がる中、英国も岐路に立たされている。