鳥取県倉吉市で小学生の読み聞かせに使用されているのは木で作られた絵本。使われているのは地元産の杉。一級建築士の生田昭夫さんが考案したもので、木がもつあたたかさを感じてほしいと考案された。これまで地元の建築物を多く設計してきた生田さんだが、木にはぬくもりや香りなど独特の魅力があるという。しかし最近の建物には価格を抑えるために木が以前ほど使用されなくなり、子ども達が木に触れる機会が減少していると感じている。多くの子どもたちに木を触ってらい、魅力を感じてほしいと考えたのは、木の絵本の制作。最初におおきな壁となったのは木に絵をいかに描くか。しかし直接木に絵を表現できなかったという。そこで生田さんが頼ったのは地元の印刷会社。木に絵をプリントできないかと頼んだ。この会社にとって木にプリントするのは初めての試み。まずコンピューターでスキャンした絵をプリンターですりだし、絵を木にプレスして接着し、この技術は普段シャツのプリントに使用されるものだという。プレスを調整することで木を傷めずに鮮やかな絵を印刷できる。さらに地元の木工職人を頼り、くり抜く角度を微調整しストレスなく読めるようにするなどし、こうして絵本が完成した。市内の土産物屋にもおかれてこれまでに200冊が生産された。