米の価格高騰が続く中、江藤農林水産大臣は政府の備蓄米21万トンを市場に放出する方針を正式に発表した。来月半ばにも放出を始め必要があればさらに拡大することも考えるとしている。米の流通の円滑化を目的に政府が備蓄米を放出するのは初めてで放出は来月半ばにも始めるとしている。備蓄米は入札によって売り渡し、初回は15万トンを放出し、2回目以降は米の流通状況の調査を踏まえて量を決めるとしている。入札の対象になるのは令和6年産米を中心に5年産米も含まれ、売り渡した集荷業者から原則1年以内に同じ量を政府が買い戻すことが条件。農林水産省によると去年収穫された米は前の年より18万トン増えたとみられる一方、JAなどの集荷業者が農家から買い集めた米の量は前の年を21万トン下回っていて、今回同じ量の備蓄米を放出する形となる。米が品薄になった去年、農林水産省は備蓄米の放出に慎重な姿勢で、新米が本格的に出回れば一定の価格水準に落ち着くという見通しを示していたが、米の価格高騰が家計を直撃する中、政策を転換し備蓄米の放出に踏み切ることになった。米の流通と価格の安定につながるかが焦点となる。