多くの下水道管は下水を処理場に向かって流すため勾配をつけて設置されていて、処理場に近づくに連れ次第に深くなるという。今回の陥没現場は処理場に近い場所だったため下水道管の位置が特に深かったとみられる。地盤工学に詳しい東京大学・桑野玲子教授は今回前兆が現れなかった理由を「深さ」だと指摘。どういうことなのか桑野教授監修のもと検証を行った。用意したのは砂を入れた水槽。上が地表、下が下水道管と仮定する。管が破損したと想定し、水槽の下にある栓を抜き、さらに破損部分から水が漏れだした状況を再現した。下水道管が浅い場所にある場合だと、管が破損し水が漏れだし始めると小さな空洞ができた。次第に大きくなり陥没を前に地表に異変が現れた。下水道管が深い場所にある場合だと、管が破損すると空洞がうまれどんどん大きくなる。しかし地表に大きな変化はない。そして前兆はがほとんどないまま陥没。管と地表とが離れていることで地表に前兆が現れないまま空洞化が進む。そして地表が耐えきれなくなったとき一気に落ちるという。