震度7を観測した熊本県氷川町で公費解体が始まった我が家を見つめるのは87歳の田中壽満子さん。30年前に亡き夫と建てた家、美容師として生業を立ててきた思い出深い場所でもある。今後もこの地域で暮らしていきたいと考えた田中さんは近所の友人宅に身を寄せながら仮設住宅に申し込んだ。結果は落選。氷川町では全壊した家屋だけでも約530戸あるが、現在計画している仮設住宅は約210戸にとどまる。一時的に鹿児島の娘夫婦のもとに身を寄せた田中さんだったが氷川町の避難所に入る決断をした。長年育んだ地域とのつながりを切りたくなかった。そうした中、近くに仮設住宅が追加で建設されることが分かったが、募集は7戸と狭き門。田中さんは当選し、地震から3か月ようやく生活再建の足がかりを掴んだ。しかし仮設住宅の入居期限の2年間に終の棲家をどう確保するのか今はまだ見えない。
