ワシントン支局・高木優支局長が解説。バイデン大統領は直前まで選挙戦続行の意思を示していただけに、突然の撤退表明に大きな衝撃が走っている。党内からの撤退を求める声は日に日に強まり、公然と撤退を求めた議員が今朝の段階で上院、下院合わせて37人に上っていた。民主党の重鎮であるオバマ元大統領やペロシ元会議長が撤退を求める立場に回ったことが、バイデン氏の決断に影響した可能性がある。バイデン氏の意向は大切に扱われるとみられていて、ハリス副大統領が党の候補者になる可能性が有力視されている。ハリス氏が有力視される背景には、民主党大会が来月中旬に迫り、候補者選出のための時間が非常に限られているということがある。ハリス氏は全米での知名度が高い上、世論調査でもトランプ氏との対決となった場合ほぼ互角の支持を集めるとのデータがある。また、女性であること、世代が若返ること、さらに黒人でアジア系であることなど、ハリス氏の属性がトランプ氏に対抗する上で有利に働くとみられることも有力視される理由。ハリス副大統領以外では西部カリフォルニア州のニューサム知事、中西部ミシガン州のウィットマー知事などの名前が取り沙汰されてきた。共和党・ジョンソン下院議長は、今朝のテレビ番組で「民主党側がこの段階から党の候補者を変更することは法律に抵触する可能性がある」と述べて、民主党の側こそが民主主義に反する可能性があると牽制している。またバイデン氏の撤退が選挙戦全体にどう影響を与えるかも注目される。対する共和党のトランプ氏は銃撃を受け、怪我をしながら共和党大会に出席し、国民の団結を呼びかけた。