動物愛護管理法の改正で、2年前から犬の繁殖業者、いわゆるブリーダーが飼育できる頭数に制限が設けられた。劣悪な環境で飼育する悪質なブリーダーを排除することが主な目的だが、ブリーダーが手放した繁殖犬の保護も課題となっている。こうした中、群馬県桐生市で繁殖を引退した犬の保護を行っているNPOの宮岡芳彦さん。去年、古民家をリフォームして、犬の保護シェルターを立ち上げた。高齢や病気で交配を行えない犬や、障害のある犬を8頭保護している。犬が好きで、4年前、飼育を行う会社に転職したが、職場は理想とかけ離れた場所だった。パピーミル、子犬工場と訳され、劣悪な環境で犬を大量に繁殖させている業者のことを指す。宮岡さんの職場は繁殖犬や子犬を500頭飼育し、交配を繰り返していた。そうした中、動物愛護管理法が改正され、飼育頭数や出産できる年齢などに制限が設けられた。会社のやり方に疑問を持っていた宮岡さんは、法改正をきっかけに退職。繊維メーカーで働きながら保護活動を始めた。ほとんどが高齢で、病気や障害もあり、医療費が数十万円以上かかった犬もいる。運営は手弁当だけでは賄えず、SNSや動画などで情報発信を行い、寄付を募ったり、新しい飼い主を探したりしている。支援の輪は広がり始めている。譲渡会の場所を提供してもらっているドッグカフェ。ふれあいを全くしてこなかった犬たちに、人になれてもらえるようにしている。宮岡さんが新しい飼い主につないだ繁殖引退犬は、今、人との生活の中で変わり始めている。宮岡さんが譲渡につなげた犬はこれまでに7頭、繁殖引退犬が新しい飼い主のもとで暮らしていけることを願っている。