ロシアによるウクライナ侵攻は今月24日で2年9か月となるが終わりは見えないまま。それを当事者のように見つめてきた旧ソビエトの国々。ロシアとEU、どちらとの関係を強めていくことが国の安定につながるのか揺れ続けている。きょうは旧ソビエト諸国の行方と欧米の向き合い方について考える。ここからは筑波大学教授・東野さんに話を伺う。旧ソビエト諸国ではロシア離れが進んでいるが、完全にロシアに背を向けている訳では無い。ロシアと戦争しているウクライナでも少数だが親ロシア派の人もいるため一枚岩ではない。ロシアが恐れているのは旧ソ連に民主主義が定着し、ロシアに及んでしまうこと。こうした中、先月、旧ソビエトの構成国の1つ・ジョージアで議会選挙が行われた。
こうした中、先月、旧ソビエトの構成国の1つ・ジョージアで議会選挙が行われた。ジョージアは人口約370万人の国で、西部・アブハジアや北部・南オセチアにロシア軍が駐留している。2008年にはロシアが南オセチアのロシア系住民を保護するという名目で軍事侵攻した。先月の議会選挙ではロシアに融和的な与党「ジョージアの夢」が54%の得票率で議席も過半数を獲得したと発表された。この選挙を受け野党支持者らは「選挙に不正があった」として大規模なデモを行った。東野さんは「選挙に不正があったというのは、ロシアからの介入が大規模に行われたのではないかということ。たしかに選挙で親ロシア派が勝ちましたが、民意がEU派なのはおそらく明らかで、政権与党「ジョージアの夢」とEU・NATOとの接近を目指す民衆との間で民意との乖離がある状態。東野さんは度々ジョージアを訪問しているそうで「特に首都・トビリシの街角では様々なバリエーションのポスターが貼られているのを目にする。ロシアの力を借りて成り立っていると言われている政権与党・ジョージアの夢だが、それに対してEUに入りたいとか、安心安全な暮らしをしたいとか、そうした国民の対立が膠着状態に陥っていて固定化されてしまっている。この状況はいつ覆るかは分からないが、その場合には偶発的で予測不能な事態が起こると思われる」などと話した。
ジョージアの親ロシア派の支配地域・アブハジアで15日、数百人の野党支持者が議会などに乱入する事件が起きた。東野さんは「公にはロシアとの投資協定に地元が反対するということで行われ得たと言われているが、それ以外にもアブハジアにおけるリゾート開発をはじめとし、ロシアと地元との利権が対立しているろも言われている。つまりここでもロシアの陰が指摘されている。ただ、反体制派は首脳陣の辞任を要求していると言われているが目、アブハジア政府に対する不満である可能性もある。
モルドバはウクライナと国境を接する人口250何人ほどの国。国境沿いの沿ドニエストル地方はロシア軍がいまも駐留するなど、ロシアの強い影響下にある。先月行われたのは大統領選挙とEUへの加盟の是非を問う国民投票。大統領選挙では芯欧米派のサンドゥ大統領が決選投票の末に再戦された。また国民投票はEU加盟に賛成が50.46%、反対が49.54%と賛成が反対を上回ったが差は僅差となった。混乱した結果となったが、最終的にはモルドバでEU思考が強いことが改めて示された結果とも言える。モルドバの市民に親EU思考が強い理由について東田さんは「2022年2月のロシアによるウクライナ侵略により、ヨーロッパの安全保障環境が根本的に変化してしまったことがあると思う。特にモルドバをみてみると、沿ドニエストル地方などのようにロシアの影響下にある地域もあるため、ロシアの分時介入があるのではないかということが度々囁かれてきた。このためモルドバでは現状に対する不安、将来に対する不安が非常に強いと覆う。同時にモルドバでは現状の憲法では中立をうたっている。なのでNATOに加盟することはできない。モルドバとしてはフィンランドやスウェーデンのようにこれまでの中立を破棄してNATOに入ることも考えられているとは言われているが、まだそこの動きにはなっていない。まずはEUに接近して安定性を確保したいというのが強い動機だと思う。ロシアと微妙な距離を保っているのはアルメニア。アルメニアは今年6月にロシアが主導する軍事同盟(CSTO)から脱退する移行を示した。7月にはアメリカと合同軍事演習を行うなど、外廷的にはわかりにくい動きをしている。CSTOはNATOのように集団自衛のような機能がある。アルメニアを見てみると、常に軽躁状態にあるアゼルバイジャンとの衝突の際にロシアから守ってもらうことをずっとアルメニアは期待しているが、これまでではロシアはほとんど傍観している状況。そのためアルメニアはこうした同盟に所属していても守ってもらえないとの結論に達したのだと思う」などと話した。
東野さんは「モルドバは現在EUにもNATOにも属していないが、NATOに属しているからといって自分たちが守られているという認識はほとんどのヨーロッパの国にはない。例えばエストニアという国は2004年にNATOに加盟し、集団防衛の観点から守られる想定だが、ロシアとの国境がナルバ川を挟んで300メートルほどしか離れていない。なのでロシアが仮にNATO諸国に侵略するとなると一番侵略しやすい国の1つではないかと言われている。そのため私はエストニアに行くたびにエストニアの人々が『私達のところに戦争が来るかも知れない』というヒリヒリした安全保障認識を持っていることを実感する。ロシアが一度侵略してくると人口も少ないため一気に占領されることが十分考えられる。なので政府から一般の人々までエストニアの人々は非常に大きな不安を持っている。ウクライナがロシアから侵略を受けて国土防衛に向けて戦っているが、ヨーロッパの最前線でウクライナがロシアの脅威を受け止めてくれているにすぎない、状況が悪くなるとウクライナを乗り越えて自分たちのところにロシアの影響力が及んでくるかも知れないという思いがある。ドイツのピストリウス国防相は『ロシアは今すぐではないかも知れないが、5~7年後にはNATO加盟国を攻撃できる能力を身につけそうだ』と言っている。ドイツの大臣でもそのような危機感を持っている。(アメリカ・トランプ氏の)第1期目とは違い、今回はトランプ大統領が返り咲くのではないかと言われていた。そのためヨーロッパ諸国はトランプ氏の勝利をある程度想定していたと思う。ただ、それはトランプ氏でなくてもいずれヨーロッパがやらないといけないことという意識もある。特にロシアによるウクライナ侵攻を背景としてそういった意識がトランプ再選との相乗効果で高まっているといえると思う」と話した。
こうした中、先月、旧ソビエトの構成国の1つ・ジョージアで議会選挙が行われた。ジョージアは人口約370万人の国で、西部・アブハジアや北部・南オセチアにロシア軍が駐留している。2008年にはロシアが南オセチアのロシア系住民を保護するという名目で軍事侵攻した。先月の議会選挙ではロシアに融和的な与党「ジョージアの夢」が54%の得票率で議席も過半数を獲得したと発表された。この選挙を受け野党支持者らは「選挙に不正があった」として大規模なデモを行った。東野さんは「選挙に不正があったというのは、ロシアからの介入が大規模に行われたのではないかということ。たしかに選挙で親ロシア派が勝ちましたが、民意がEU派なのはおそらく明らかで、政権与党「ジョージアの夢」とEU・NATOとの接近を目指す民衆との間で民意との乖離がある状態。東野さんは度々ジョージアを訪問しているそうで「特に首都・トビリシの街角では様々なバリエーションのポスターが貼られているのを目にする。ロシアの力を借りて成り立っていると言われている政権与党・ジョージアの夢だが、それに対してEUに入りたいとか、安心安全な暮らしをしたいとか、そうした国民の対立が膠着状態に陥っていて固定化されてしまっている。この状況はいつ覆るかは分からないが、その場合には偶発的で予測不能な事態が起こると思われる」などと話した。
ジョージアの親ロシア派の支配地域・アブハジアで15日、数百人の野党支持者が議会などに乱入する事件が起きた。東野さんは「公にはロシアとの投資協定に地元が反対するということで行われ得たと言われているが、それ以外にもアブハジアにおけるリゾート開発をはじめとし、ロシアと地元との利権が対立しているろも言われている。つまりここでもロシアの陰が指摘されている。ただ、反体制派は首脳陣の辞任を要求していると言われているが目、アブハジア政府に対する不満である可能性もある。
モルドバはウクライナと国境を接する人口250何人ほどの国。国境沿いの沿ドニエストル地方はロシア軍がいまも駐留するなど、ロシアの強い影響下にある。先月行われたのは大統領選挙とEUへの加盟の是非を問う国民投票。大統領選挙では芯欧米派のサンドゥ大統領が決選投票の末に再戦された。また国民投票はEU加盟に賛成が50.46%、反対が49.54%と賛成が反対を上回ったが差は僅差となった。混乱した結果となったが、最終的にはモルドバでEU思考が強いことが改めて示された結果とも言える。モルドバの市民に親EU思考が強い理由について東田さんは「2022年2月のロシアによるウクライナ侵略により、ヨーロッパの安全保障環境が根本的に変化してしまったことがあると思う。特にモルドバをみてみると、沿ドニエストル地方などのようにロシアの影響下にある地域もあるため、ロシアの分時介入があるのではないかということが度々囁かれてきた。このためモルドバでは現状に対する不安、将来に対する不安が非常に強いと覆う。同時にモルドバでは現状の憲法では中立をうたっている。なのでNATOに加盟することはできない。モルドバとしてはフィンランドやスウェーデンのようにこれまでの中立を破棄してNATOに入ることも考えられているとは言われているが、まだそこの動きにはなっていない。まずはEUに接近して安定性を確保したいというのが強い動機だと思う。ロシアと微妙な距離を保っているのはアルメニア。アルメニアは今年6月にロシアが主導する軍事同盟(CSTO)から脱退する移行を示した。7月にはアメリカと合同軍事演習を行うなど、外廷的にはわかりにくい動きをしている。CSTOはNATOのように集団自衛のような機能がある。アルメニアを見てみると、常に軽躁状態にあるアゼルバイジャンとの衝突の際にロシアから守ってもらうことをずっとアルメニアは期待しているが、これまでではロシアはほとんど傍観している状況。そのためアルメニアはこうした同盟に所属していても守ってもらえないとの結論に達したのだと思う」などと話した。
東野さんは「モルドバは現在EUにもNATOにも属していないが、NATOに属しているからといって自分たちが守られているという認識はほとんどのヨーロッパの国にはない。例えばエストニアという国は2004年にNATOに加盟し、集団防衛の観点から守られる想定だが、ロシアとの国境がナルバ川を挟んで300メートルほどしか離れていない。なのでロシアが仮にNATO諸国に侵略するとなると一番侵略しやすい国の1つではないかと言われている。そのため私はエストニアに行くたびにエストニアの人々が『私達のところに戦争が来るかも知れない』というヒリヒリした安全保障認識を持っていることを実感する。ロシアが一度侵略してくると人口も少ないため一気に占領されることが十分考えられる。なので政府から一般の人々までエストニアの人々は非常に大きな不安を持っている。ウクライナがロシアから侵略を受けて国土防衛に向けて戦っているが、ヨーロッパの最前線でウクライナがロシアの脅威を受け止めてくれているにすぎない、状況が悪くなるとウクライナを乗り越えて自分たちのところにロシアの影響力が及んでくるかも知れないという思いがある。ドイツのピストリウス国防相は『ロシアは今すぐではないかも知れないが、5~7年後にはNATO加盟国を攻撃できる能力を身につけそうだ』と言っている。ドイツの大臣でもそのような危機感を持っている。(アメリカ・トランプ氏の)第1期目とは違い、今回はトランプ大統領が返り咲くのではないかと言われていた。そのためヨーロッパ諸国はトランプ氏の勝利をある程度想定していたと思う。ただ、それはトランプ氏でなくてもいずれヨーロッパがやらないといけないことという意識もある。特にロシアによるウクライナ侵攻を背景としてそういった意識がトランプ再選との相乗効果で高まっているといえると思う」と話した。
URL: http://www.nato.int/