アメリカとウクライナの高官協議はトランプ大統領とゼレンスキー大統領の口論を受けて両国の関係悪化が鮮明になった後に行われたものだけに、注目されるものとなった。協議の成果を抑えた上で今後のリスクとしてロシアの対応、さらなる圧力という3つのポイントで見ていく。協議の成果としてはウクライナとしてはウクライナが和平に後ろ向きだという批判をかわし、誤解をとくことがある。また、トランプ政権が停止した軍事情報の共有と軍事支援の再開を目指したものだった。協議でウクライナはアメリカの提案した30日間の停戦を受け入れたことで批判をかわし、軍事情報の共有と軍事支援は再開を表明されたことから代表団としては胸を撫で下ろしたところと思われる。さらに協議を受けて、トランプ大統領はゼレンスキー大統領を再び招きたいとしており、両国の関係修復という点においても成果があったといえる。一方、協議は今後のリスクもはらんでいる。最大のリスクはロシアの対応。ロシア側も一定のプレッシャーは感じている可能性があるが、トランプ氏はプーチン氏との個人的に良好な関係で影響力を行使しようとしているにすぎず、その効果は不透明。ロシア側がさらなる要求を突きつける可能性もある。となると、トランプ氏はウクライナへの圧力を強め、さらに譲歩を求めることになるのではないかとの懸念がある。
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