30、31日と、日銀が金利を引き上げるか決める会合を開いている。引き上げれば住宅ローンの金利が上がるほか、家計を直撃している超円安が少し和らぐ可能性もある。都内の住宅展示場を訪れた夫婦は戸建ての購入を検討しているが、大きな買い物だけに気になるのがローンの金利。人気の変動型は今のところ固定型よりも金利が低いものの、半年ごとに見直されるので上がる可能性もある。この夫婦はそれを見据えて、変動と固定を組み合わせるミックスローンを考えている。日銀は物価の上昇率が見通しどおり2%に近づけば利上げする考えだが、内部では「条件は満たしている」との見方が出ている。利上げをすれば、5ポイント以上も開いている米国との金利差が縮まり超円安が少しやわらぐ可能性も。円安は、日銀が取ってきた大規模緩和の副作用だが、さすがに内部でも「経済全体にマイナスだ」と危機感が高まっている。こうした中、ソニー銀行は14年ぶりに変動型ローンの基準金利を0.2%引き上げる。客の足が遠のく可能性があるが、日銀の判断を見越して動き出している。当の日銀では、物価の上昇に賃金が後れを取る中では「消費のブレーキになる」と利上げに慎重な声も根強いのが内情。異次元緩和のつけが重くのしかかる中、金融正常化の歩みをどう進めるのか、日銀は悩ましい判断を迫られている。