石川県能登地方の豪雨災害から、きょうで2か月。本格的な雪の時期が近づく中、大手通信会社の社員がボランティアに訪れた。人手が足りていないのが現状だということだが、石川県は来月中旬までには住宅の土砂を撤去したいとしている。こうした復旧への努力が続けられる中で、豪雨の記憶を風化させたくないと、活動を続ける男性がいる。輪島市久手川町で2か月前、豪雨災害で4人が亡くなった。そのうちの1人が中学3年生の喜三翼音さん。祖父・喜三誠志さんは、輪島塗のまき絵師。輪島市の朝市通りに店を出していたが、1月の地震による火災で、店は全焼した。今は自宅兼工房で制作を続けている。翼音さんを亡くしたあと、作り続けているのが、2羽のフクロウが寄り添ったマグカップ。工房を訪れていた孫から、「かわいいので、店の看板商品にしたほうがいい」とアドバイスを受けたデザイン。「HAnonのフクロウ」と名付けた。いつ、誰が災害に巻き込まれてもおかしくないことを知ってほしいという思いも込めている。豪雨のあと、誠志さんは各地に出張して、フクロウのマグカップを販売している。喜三誠志さんは「せめてもの供養であり喜んでくれているんじゃないか」と話す。