大阪市からの依頼人は川並さん。熱烈な骨董コレクターで収集はジャンルを問わず焼き物、刀、コインなど。2008年には骨董36点500万円も購入していたという。これまでに3000万円以上使っているという。川並さんの依頼品は黄瀬戸の向付。買った値段は50万円だという。安土桃山時代、千利休によって完成された侘茶は簡素な中に深い精神性を見出すもの。その美意識は茶道具にも及び、それまで中国の模倣にすぎなかった日本の焼き物に新たな風を吹き込んだ。そこで美濃の国で誕生したのが志野、瀬戸黒、黄瀬戸。古瀬戸の流れを汲んでいるためそのような名で呼ばれる。黄瀬戸は茶の湯の高級食器。最大の魅力は独特の黄色。16世紀後半には表面にざらつきがあるものが作られるようになった。織部焼が登場すると黄瀬戸はわずか40年ほどで姿を消した。