さいたま市南区のタクシー会社が始めたきくらげ栽培を紹介。車庫の隣にプレハブで栽培しており、作業をしているのはこの会社の常務、清水雄一郎さん。ふだんはタクシーを運転しているが、栽培を始めて5年、今では年間10トン、1000万円ほどの売り上げがある。なぜタクシー会社がきくらげを栽培しているのか。実は地域の足をなくさないためのきくらげ事業ということで始めたという。さいたま市南区で社員30人ほどのタクシー会社を営む清水さん。創業から54年、地域に根ざしたタクシー会社として地元の人の生活を支えてきた。しかし新型コロナの感染拡大で危機が訪れた。2020年4月のある一日の売り上げは17万円ほど。月に500万円の赤字が出て倒産の危機に立たされていた。追い込まれた清水さんは乗務員たちと収益を上げるためのアイデアを出し合った。インターネットで栽培キットを購入し会社のシャワー室で育ててみると3週間ほどで食べられるほどに成長。生のきくらげのおいしさを知り事業化を目指すことにした。栽培は試行錯誤の連続で、当初はビニールハウスで作っていたが冬場の温度管理が難しく栽培期間は4月から10月の間だけだった。そこで2022年からはプレハブで育てることになり、清水さんみずからソーラーヒーターを設置し1年間を通して栽培が可能になった。翌年からは空き家での栽培も開始。清水さんみずから断熱材を入れ光熱費を抑えて栽培できるようにした。こうして作ったきくらげは地元の八百屋や飲食店に販路を拡大してきた。そして地域の学校給食にも採用。サラダや中華スープに入れたり。さらにはつくだ煮にするなどさまざまな調理法で提供されている。中でも清水さんおすすめの食べ方が湯通ししたものをポン酢やわさびしょうゆで食べるというもの。このきくらげ事業はいずれ会社の柱になる勢いで伸びているというが地域の公共交通を守るという信念は貫くという。