20年前と比べて半分にまで減っている街の本屋。現状を変えるため、チェーン店ではない個性的な小売書店が独自スタイルでビジネスを展開。愛知・安城市に去年12月にオープンした書店。築80年のわずか7坪の店舗で、400冊の本を販売する「七坪書店」。限られたスペースのため雑誌などは扱わず、独自性のある品ぞろえにし、それが逆に店の強みになっている。七坪書店店主・松崎通彦さんは「小説、詩、エッセー、短歌、文芸と言われるものに絞って、僕の好みとよく来てくれるお客さんの好みを意識して選んでいる」と語った。日本出版インフラセンターによると2023年の全国の書店数は1万918店舗で、20年前に比べ半分になった。その一方でチェーン店や大型の店舗が姿を消す中、七坪書店のような個人経営で規模の小さい独立系書店と呼ばれる本屋が全国で増加傾向にある。売り場の奥に併設したカフェスペースで常連客の好みを聞き、品ぞろえすることで書店自体のファンが増えていったという。開店当初は赤字になった月もあったが、書店を続ける理由について、松崎さんは「本当に(本が)好きだから」と語った。神奈川・小田原市・書店南十字は、あるこだわりにより客足を伸ばしている。南十字運営メンバー・成川勇也さんは「生活の中にもう少し本屋さんが存在できるようにしたいというのが強い」と語った。小田原出身の成川さんは、高校の同窓生らと3人で書店を始めた。開業資金はクラウドファンディングを活用し、約160万円を集めたが、利益はすぐに出ないことを見越し3人はそれぞれ本業を持ちながら副業として書店経営に乗り出した。街に文化を発信する施設が少なくなったことから自らがその担い手になろうと思ったという。店には小田原在住の作家の本をそろえ、地域色を売りにしている。陶芸家が自主制作した写真集などを置くなど、他の店舗にない品揃えを用意している。開業から2年、イベントを開催するなどし、地域の本好きが集まるようになり、徐々に赤字から脱却。成河さんは「住んでいる人主導の面白さが町全体に出てきたように感じる」等と話した。
住所: 神奈川県小田原市南町2-1-58