南海トラフ地震臨時情報の発表から、きょうで1か月。初めての発表を受けて、各地の自治体はもちろん、多くの現場、多くの人が対応に追われた。今回の経験や教訓を踏まえて、私たちは災害にどう備えていけばいいのか。今後に生かす取り組みも始まっている。東京・町田の商業施設で行われている防災イベントで話を聞いた。各地で対応に追われた初の臨時情報。宮崎市の観光地・青島では、安全を重視して当初は海水浴場の休止を決めた。しかし、お盆休みということもあり、営業再開を求める声も寄せられ臨時情報の発表から3日後に再開した。徳島市では、臨時情報が発表される中、伝統の阿波おどりを開催。市と実行委員会は、津波避難ビルや高台への避難ルートを示したマップを掲示した。ただ、期間中の人出は推計で102万人に上り、一部の会場で避難のための通路が狭かったと指摘されていることや、避難所に観光客の分の水や食料が備蓄されていないことなど、課題が浮き彫りになった。今後に向けた取り組みも。愛媛県伊方町では、これまで地域防災計画に臨時情報の対応が含まれていなかったことから、事前避難の呼びかけなど新たな対応方針を盛り込むことにした。南海トラフ地震の防災対応を所管する内閣府は自治体や事業所に今月中にもアンケートを行って情報の伝え方を検証するなど、改善に向けた検討を進めることにしている。日向灘の地震から1か月。専門家で作る評価検討会はおととい“南海トラフの想定震源域でこの間、プレートの状況に特段の変化を示すような地震活動や地殻変動は観測されていない”とする評価結果をまとめている。日向灘周辺の地震活動を分析する京都大学防災研究所・宮崎観測所・山下裕亮助教は、“今回の震源域の北東側にひずみをためたままの領域もある”として、“揺れや津波への備えを続けてほしい”と話している。