薬不足が深刻化している。日本薬剤師会が先週発表した調査によると昨年末と比べ薬不足が“悪化している”、“かなり悪化している”と答えた薬局が約86%となっている。いとう王子神谷内科外科クリニックでは今年6月から薬の供給が不安定となっており、10月後半から現在にかけ薬不足が深刻化しているという。特に咳止めやたん切り、解熱剤などが入手しづらいとのことで、現在はぜんそく患者用の咳止めで代用したり、子ども用シロップを大人に処方するなどし調整しているという。また、解熱剤に関しては1カ月前までは子供用の粉薬やシロップを大人に処方していたことがあったというが、今では子供用が足りず大人用の錠剤を砕き処方することも起きている。薬不足が深刻化する理由については、新型コロナウイルスの感染拡大以降多くの感染症が減少したことで咳止めなどの供給量を縮小していたが、ことし5月にコロナが5類に引き下げられると通院する人が増加し処方薬も増えたという。そして、インフルエンザ、プール熱の流行、ジェネリック医薬品メーカーの不祥事により多くの医薬品が供給停止している影響などが続いており薬不足となっている。薬は企業が需要を予測し生産するが、作りすぎないよう必要最低限の量を作る傾向にあり、日本の医薬品供給はそもそも十分ではないという。今月7日、厚生労働省は咳止めなどを製薬会社24社に増産要請しているが、製造計画の組み直しや製造ラインの人員手配などすぐに増産するには難しいという。こういった状況の改善については来年春頃から改善が見込まれるとみられている。