今年度の最低賃金についての労使の代表による議論。ことし春闘では、例年以上の賃上げ率となっているが、依然、物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない状況で、今回最低賃金が大幅に引き上げられるのかが焦点である。出版関係の倉庫で非正規労働者として働いている男性は物価の高騰が続く中、普通の生活を続けることすらままならないという。今年度の最低賃金についての労使の代表による議論。物価高の影響は、賃金を支払う側、企業にとっても同じ。埼玉県の総菜メーカーでは300人ほどの従業員の中には、時給で働く契約社員も多く、最低賃金の引き上げに伴って、毎年時給を引き上げている。今回も去年と同じ程度引き上げられた場合、人件費はさらに年間で7000万円ほど増える見通しである。商品のこん包にロボットを導入するなど、効率化も進めているが原材料費や光熱費が高騰しているうえ、これ以上、商品価格への転嫁も難しく、賃上げをどう実現するか悩んでいるという。総菜メーカー社長は「人で成り立っている企業としては人材が維持できる環境を作るしか無い」などと話した。こうした中始まった今年度の最低賃金の議論で、政府は2030年代半ばまでに全国平均時給を1,500円に引き上げることを目標としている。引き上げの目安は労使の代表などで作る厚生労働省の審議会が毎年決定していて、春闘を通じて大手企業を中心に高水準の賃上げが広がる中、最低賃金も大幅な引き上げとなるかが焦点となっている。法政大学の山田久教授は「最低賃金を引き上げていくことは、所得の底上げと同時に高い賃金を支払うことは、企業は生産性を上げていかないといけない」などと話した。審議会では来月下旬に引き上げ額の目安が取りまとめられる予定である。