「医師の偏在」は、医師が都市部など一部の地域や診療科に偏り、地方の病院などで不足する問題で、きのう厚生労働省が専門家で作る検討会を開き、新たな対策案を示した。まず医師が少なく、重点的に対策に取り組む必要のある地域を選定したうえで、その地域で診療所を開業する場合に費用を補助したり、医師の手当を増額したりするなど、経済的な支援策を示した。一方、外来の医師が多い地域で診療所を開業する場合は、在宅医療など地域で不足する医療を担うよう都道府県が要請でき、必要な場合は、勧告や公表できる仕組みを導入することを検討している。さらに、公立病院を含む公的医療機関や国立病院機構などが運営する病院で院長などの管理者になる要件に、医師が少ない地域で1年以上勤務することを新たに加える方針も示した。管理者になるための勤務要件は、すでに全国およそ700ある地域医療支援病院で導入されているが、公的医療機関などに拡大されれば、対象はおよそ1600の病院に増加する。これについて一部の専門家からは「さらに多くの医療機関を対象にすべきだ」といった意見も上がっていた。厚生労働省は、専門家の意見を踏まえたうえで、年内にも新たな対策をまとめることにしている。