政府の強い後押しで熊本県に誘致された台湾の半導体大手TSMC。県内への経済波及効果は11兆円を超えるともいわれ、大きな期待が集まっている。年内にも本格稼働が見込まれている中、世界的大企業と取り引き関係を結び成長のチャンスをつかもうと地元の企業が奮闘している。熊本県北部の大津町。TSMCの工場から3キロの所にあるおよそ7000平米の空き地。自動車部品の工場を経営する出雲社長。TSMCの進出をきっかけに半導体関連産業に参入しようと半年前に土地を取得したが、取り引きの糸口がつかめずにいる。30年近く工場を営んできた出雲さん。コロナ禍での収益減少に苦しむ中、半導体産業の将来性に期待をかけている。9月に台湾で開催された半導体の展示会に参加し、現地の状況を視察。TSMC本体だけではなく取り引きのある企業にもアプローチしたが、今のところ受注できていない。TSMCは直接品質に影響しない消耗品などの現地調達率について2030年までに60%を目指すとしている。そうした取り引きのチャンスをつかもうと熊本の中小企業などが去年から開いている研究会がある。半導体関連の最先端の動向に関する勉強会など月に1度行ってきたが、実際に受注できたのは21社中4社。半導体産業の動向に詳しい熊本大学・鈴木裕巳特任教授は「TSMCは半導体の中の非常に重要な部品については、台湾で使っていた会社を一緒に連れてきて使っている」とし、TSMCの生産体制は参入が難しい状況だという。
一方でTSMC側の高い要求に応えて受注に成功した地元企業もある。工場の近くにある運送会社では常識を越えたスピード感が求められたという。運送会社・永井雄大郎専務は「他社は数日前、もしくは前日にオーダーが入り翌日に納品するパターンが多いが、TSMCは当日2時間前にオーダーが来て2時間以内に納品する。他社との大きな違いだと最初は感じた」と話す。運送会社では社内の体制を抜本的に見直し、運転と積み込みを1人が担う“多能工化”を実施しスピーディーに対応することができるようになった。来年3月には新たな倉庫も稼働させる。
一方でTSMC側の高い要求に応えて受注に成功した地元企業もある。工場の近くにある運送会社では常識を越えたスピード感が求められたという。運送会社・永井雄大郎専務は「他社は数日前、もしくは前日にオーダーが入り翌日に納品するパターンが多いが、TSMCは当日2時間前にオーダーが来て2時間以内に納品する。他社との大きな違いだと最初は感じた」と話す。運送会社では社内の体制を抜本的に見直し、運転と積み込みを1人が担う“多能工化”を実施しスピーディーに対応することができるようになった。来年3月には新たな倉庫も稼働させる。