沖縄出身の齋藤悌子さん88歳。86歳でデビューアルバムを出したジャズシンガー。今月東京で2日間に渡って行われたコンサートのチケットは完売。参加したミュージシャンは錚々たるメンバー。ピアノはグラミー賞を受賞したことのあるデビッド・マシューズさん。石垣島で暮らす悌子さんの日課は発声練習。音楽と出会ったのは那覇市内の高校に通っていたとき、音楽の先生から「ボーカルを募集しているところがあるから行ってみたら」と言われたという。沖縄の米軍基地で演奏するジャズバンドのボーカルのオーディションだった。オーディションに見事合格、18歳でジャズシンガーとしての一歩を踏み出した。悌子さんが綴った歌詞カードは約400曲分あるという。見せてくれたのは兵士からの手書きのリクエストカード。悌子さんには歌から離れた時期があった。バンドのリーダーだった勝さんと結婚し、ホテルで歌い続けていた悌子さん、けんかもしたことのないおしどり夫婦だったが悌子さんが59歳のときに勝さんが病で亡くなり歌えなくなってしまったという。当時のことを娘の敦子さんは「相当こたえていた、あの時は。母はジャズを聴くと泣いちゃう。10年以上音楽に触れることはなかった」など話した。しかし、ふらりと訪れた喫茶店でジャズを耳にしたとき、やっぱりジャズはいいと感じ歌いたくなったという。再び地元の石垣島で細々と歌い始めた悌子さん。転機が訪れたのは2年前のこと。悌子さんの歌声に惚れ込んだライブハウスのオーナーの熱意で86歳にして初めてのアルバムを作ることになった。その経緯をオーナーの息子さんは「父がある日突然やってきて録りたい人がいると、こんなにすごい人がいると伝えたいと言って」など話した。収録したのは小さなライブスペース。悌子さん、歌声を収録するとは聞かされていたが、まさかそれがそのままCDになるとは思っていなかったという。グラミー賞を受賞したこともあるデビッド・マシューズさんをはじめ、国の内外で活躍するミュージシャンたちが参加。小さなライブハウスで吹き込まれた歌声は多くの人の心に染み渡っていった。歌に込めたのは平和への願い。宮古島出身の悌子さんは幼いころに台湾に疎開していたため戦争の記憶はない。しかし、アメリカの統治下となり平和を取り戻した沖縄で戦争の現実を知ることになった。ダニー・ボーイを米軍基地で歌っていたとき、そこにいた男性の軍人が涙を浮かべて聴いていたという。
東京で開かれたコンサート。800枚のチケットは完売。齋藤悌子さんからは気負いはみじんも感じられない。Summertime、Danny Boyなどを熱唱した。悌子さんは「戦争のニュースをみれば悲惨。子どもたちのことを見ると思い出す」などコメント。
東京で開かれたコンサート。800枚のチケットは完売。齋藤悌子さんからは気負いはみじんも感じられない。Summertime、Danny Boyなどを熱唱した。悌子さんは「戦争のニュースをみれば悲惨。子どもたちのことを見ると思い出す」などコメント。