コメの高騰と在庫不足の声が上がる中、政府は「コメは足りている」と一貫して主張。しかし、専門家からは「政府の認識が間違っている」との指摘が出ている。埼玉県内にあるコメ農家を取材。既に秋の収穫に向けて動き出しているが、最近ある変化が。小池農園・小池貴史さんは「ネットなどでコメの販売情報を探して、直接取りに来る人が増えた」と話す。個人客からの問い合わせが増え、去年11月には150袋あったが既に30袋になった。今、コメが少なくなっている要因の一つとして挙げられているのが「異業種の参入」。都内のコメ専門店に話を聞くと、これまでに取り引きのない業者から「大量のコメがほしい」という連絡もあったという。江藤拓農林水産大臣の「コメはある。どこかにスタック(停滞)していると考えざるを得ない」とする国の認識が間違っていると指摘する専門家も。東京大学・鈴木宣弘特任教授は「政府の見解は『とにかくコメは余っている足りている』。だけど本当にそうかと、根本原因は流通の問題ではなくて本質はコメが足りてない」と話す。そもそも人口減少などでコメの需要・消費量が減る中、国はコメが余らないように生産量をギリギリに抑えてきた。そこに猛暑が襲い、2023年の生産量は661万トンまで減少。需要に対して、40万トン以上コメが不足する事態になった。実際、去年の6月ごろから徐々にスーパーの棚からコメが消えた。専門家は、構造的なコメ不足は去年秋の収穫後も続いていて、今年の夏も再び起きる可能性があると指摘する。鈴木氏は「先食い状態と言うんですか、2024年産のコメを徐々に消費していくはずが、みんな先に確保しちゃって」と述べた上で、根本的な解決のためにはコメの生産を抑える政策をやめるべきだと指摘する。ただ、小池農園の小池氏は「いきなり転換はできない、コメが足りないからといっても年1回しか作付けできないから、急に生産量ってなかなか増やせない」と述べた。令和のコメ騒動はコメ政策の見直しを迫っている。