内閣府が発表したGDPの速報値は、物価の変動を除いた実質の伸び率が前の3か月と比べてマイナス0.5%となった。これが1年間続いた場合の年率に換算するとマイナス2.0%で、2期ぶりのマイナス。主な項目を見ると、個人消費は前の3か月と比べてマイナス0.7%だった。自動車メーカーが認証取得を巡る不正で車の生産や出荷を停止したことなどが消費に影響した。個人消費のマイナスは4期連続で、リーマンショックの前後以来となる。輸出も5.0%のマイナスだった。統計上、輸出に計上される外国人旅行者の日本国内での消費は増えたが、認証取得の不正などを受けて自動車の輸出が落ち込んだ。企業の設備投資もマイナス0.8%だった。また昨年度1年間のGDPは、前の年度と比べた伸び率が実質でプラス1.2%、名目もプラス5.3%と共に3年連続のプラスになった。今回のGDPは日本経済が足踏みの状態にあることを示す形となった。マイナスの要因は一時的だとして景気は徐々に持ち直すという見方もあるが、今回、個人消費が4期連続のマイナスとなるなど楽観できる状況ではない。さらに懸念されるのが歴史的な円安が日本経済に及ぼす影響。円安が物価の上昇を招けば、家計の負担が増加し消費を落ち込ませるおそれがある。企業からは“円安でこれ以上原材料コストが増えれば、さらなる賃上げには慎重にならざるをえない”という声も出ている。政府は春闘での賃上げとともに、来月からの定額減税によって経済の好循環を確かなものにしたい考えだが、シナリオどおりに力強い成長が実現するのかが焦点となる。