中国経済について解説。ことし4月から先月までのGDP(国内総生産)の伸び率は、実質でプラス4.7%。前の3か月のプラス5.3%からは伸びが縮小した。要因は、長く続いている不動産不況。厳しい雇用情勢とそれを背景にした個人消費の伸び悩みなどがある。そうした中、中国で起きているのが「国債バブル」。10年ものの中国国債の利回りの推移を見ると、今月1日には2.2%を下回り過去最低に。金利が下がると価格は上がる関係にあるため、国債の価格でいうと最高値になる。国債が人気の理由は、マネーの行き先がほかになくなっているから。不動産価格は下落が続いていて、株式市場も不安定な値動きになっている。国債は利回りが低くなっても安定した利益が期待できるため、そこに資金が流れ込んでいる。これと似た構図は過去にほかの国でもあった。バブル崩壊後の日本。1990年代後半〜2000年代にかけて資金需要が低迷し、債券市場に資金が流れ込んだ。そして中国では今、デフレの懸念もくすぶっている。実体経済だけでなく金融市場でも中国で日本化が始まったと指摘する声がある。日本経済は停滞が長く続いたが、中国経済に詳しい人からは「中国政府は日本の経験をよく研究しているので、同じ過ちは犯さない」といった声もよく聞く。だが、市場の変調のサインは決して軽視できない。中国経済は停滞から抜け出せるのか、あるいは日本が通った道をなぞることになるのか、それは中国政府の対応次第だといえそう。