首藤若菜氏とともに中小企業の賃上げについて伝えていく。大企業は満額回答が相次いでいるが、これについては望ましいことであり日本経済再生のために賃金を上げる機運が高まっていて、他社が上げたら自らも上げなければならないという流れができていると紹介。一方で中小企業では賃上げを実施しないと答えた企業が約15%にのぼり、コストを価格転嫁できていないためと約54%が答えている。首藤氏は賃上げ率と価格転嫁率には相関関係があることが分かっているが、安い値段で仕事を受ける企業もいる中価格転嫁を要求すると取引を止められてしまう恐れがあるためと指摘し、賃金を上げないで安さを実現する企業は産業事態の存続も危ぶまれると指摘している。鍵となるのは地域別最低賃金より高水準で設定され、労働者と企業の申出により新設・改正が可能な特定最低賃金であり、技能が求められるトラック運転手などに設けることが求められるとしている。最低賃金は法的拘束力を持つことから、これが上がることは交渉の説明材料になるとしている。岸田総理は取り組みが不十分な企業は名前を今月中に公表するとしているが、今後は適正な取引ができていない理由を調べていく必要があると言及。また、多重下請け構造も価格転嫁の障壁となっているものと見られ、2次請け企業は交渉が容易だがそれ以降の下請は交渉が難しいのが現状となっていて、首藤氏は国によっては下請企業は2次請けまでにするなどの規制を設けている国も存在していると紹介している。日本でもトラック運送業に対し国交省が多層下請けの是正をめぐる案を出しているという。これまでは安く人材を使う方向で争ってきたが、今後は人手不足の中で人にどのように投資していくかが今後の戦略になると見られると首藤氏はまとめている。