京都大学大学院・梅野健教授の地震予測は地中ではなく空を調べるという。電離層とは、目に見えない電子が集まって電気を帯びたような状態の大気のこと。先生は、人工衛星から届くGPSなどの電波を使って電離層で起こる地震の前兆をキャッチするという。2016年の熊本地震のときのデータでは地震発生の30分から1時間前、高度が下がりて直前には熊本エリアを覆うようになった。地中で発生した電気によって真上にある電離層が引き寄せられこの影響で、高度が50kmほど下がるのだという。先生はこの仕組みを世界で初めて解明。同じ現象は、東日本大震災や、現在解析中の能登半島地震でも確認されており今後、リアルタイムでの観測が実現すれば1時間前の地震予測が可能になる。他にも、発電所の稼働停止や漁船の避難や固定など事前退避という未来の防災の形も見えてくる。この研究を巡って国は、使用料が必要だった全国1300か所にある国交省の観測機データを無償に。先生は、3年後には1時間前の地震予測を実現させたいと意気込む。