昨夜、韓国・尹錫悦大統領は来年の予算案に合意しない野党側の対応などを理由に「非常戒厳」を宣言。これを受けて戒厳司令部が国会などの一切の政治活動を禁じ、すべてのメディアが統制を受けるなどとする布告令を発表。国会の建物には戒厳司令部の部隊が突入する事態になった。突然の発表に国会周辺には大勢の市民が殺到した。午前1時ごろ、非常戒厳を解除するよう要求する決議案を出席議員190人の全会一致で国会で可決。議長は戒厳の宣布が無効になったと発表した。非難する声は野党だけではなく与党からも相次ぎ、午前4時半ごろには尹大統領が談話を発表。午前5時ごろ、非常戒厳は解除された。1987年の民主化宣言以降、初めて発表された今回の非常戒厳の背景にはユン大統領が直面する難しい政権運営がある。ことし4月の総選挙ではみずからを支える与党国民の力が大敗し、少数与党に。大統領夫妻が過去の選挙で与党の候補の公認を巡り、不当に介入した疑惑が取り沙汰され、最新の世論調査ではユン大統領の支持率が20%を割り込んでいる。今回の非常戒厳はこうした状況の事態打開をねらった一手だったとみられている。