自分の年金となるはずの資産が放置されているケースが相次いでいる。この問題が起きているのが、企業年金の1つである「企業型確定拠出年金(DC)」。日本の年金は3階建てと言われる。1階部分は、20歳以上60歳未満の国民に加入が義務づけられている国民年金。2階部分は、企業の従業員や公務員が加入する厚生年金。企業型確定拠出年金は3階部分にあたる。放置年金は、この制度がある会社で働いていた人が転職や早期退職する場合に発生する可能性がある。転職する人は前の会社で運用していた資産を半年以内に移す手続きが必要で、移し方は3パターンある。転職先の企業型確定拠出年金に加入するか、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する、あるいは企業年金連合会に移すという選択肢がある。ただ、転職の慌ただしい中で手続きを忘れてしまう人がいる。何もしないまま半年が経過すると、法律に基づき国民年金基金連合会という機関に自動的に移される(=放置年金)。その規模は毎年膨らみ、該当する人数は増え続け、総額では2800億円を超えている。その要因は、転職や早期退職をする人が増えていることが背景にあるとみられている。確認の方法について。自動的に資金が移されてしまった人には毎年書面などで通知が来る。そして、専用の窓口に問い合わせることもできる。仮に年金が移され放置された状態になっていても、手数料を支払えば資産を移すことができる。ただ、放置されている間は毎月手数料が引かれ、運用もされないため、資産が増えることはない。