いま悪質なリフォーム工事に関するトラブルが増えている。相談件数(出典:国民生活センター)は5年前の1.6倍に増加。その6割近くが、70代以上の高齢者。関係者の間で、捕まらない詐欺とも呼ばれているという悪質リフォーム。実態を取材。不審なリフォーム業者と契約したという80代の女性。去年6月、自宅を訪れた業者から「屋根の無料点検をさせてほしい」と持ちかけられた。屋根に上り、写真を撮り始めたという業者が撮影したのは屋根のてっぺんの部分。写真を見ると張られた板金が浮き上がり、くぎも飛び出していた。業者から板金を取り替えるリフォーム工事を勧められた女性は、その日のうちに25万円を支払う契約を結んだ。しかし2日後、たまたま自宅を訪れた娘が契約書と写真を見つけ、地元の工務店に調査を依頼。工務店は、屋根は簡単な補修で済むため、20万円以上かけて板金を取り替える必要は全くないと説明。そもそも屋根が人為的に壊された可能性が高いと指摘。娘がクーリングオフを申し込み契約は解除できたが、2か月後には、別のリフォーム業者が自宅を訪ねてきたという。
高齢者を中心に被害が相次ぐ悪質リフォーム。警視庁に摘発された業者が使っていた営業マニュアルの内容が、NHKの取材で明らかになった。マニュアルには、契約に持ち込むまでの流れが、身ぶり手ぶりまで細かく記されている。マニュアルの内容を紹介。トラブルの相談の7割を占めていたのが、屋根のリフォーム工事。警視庁は、こうしたマニュアルが複数の業者に出回っている可能性があると見ている。捜査関係者は「リフォーム業者が集めた住宅の間取りや資産状況などの情報が別のグループに渡り、ほかの犯罪に悪用されるおそれもある」としている。
トラブルが相次ぐ背景に何があるのか。悪質リフォームの実態を知るという人物が取材に応じた。この数年、悪質リフォームに加わる若者が増えているという。屋根のリフォームなど、1件の工事代金が500万円未満の場合は、国や自治体から建設業の許可を得る必要がない。このため、業者の質が担保されず、悪質な業者が参入しやすい状況になっていると指摘されている。実際にトラブル相談の94%が、500万円未満の工事だった。
捜査関係者によると、屋根や床下などはふだん見る機会が少ないため、必要のない工事が行われたのかどうか確認するのが難しく、詐欺などで立件するにはハードルが高いのが実情。関係者の間では「捕まらない詐欺」と呼ばれているという。悪質リフォームの実態を知る人は「悪質なものに分類されるだけであって、犯罪ではない(と思っている)。自分のまわりだと罪の意識は全くない」と語った。専門家は、リフォーム業者などの訪問販売に、新たに規制を設けるなど、対策を進める必要があると指摘。リフォーム詐欺に詳しい村千鶴子弁護士は「(海外では)消費者が“来ないでくれ”と言っているところには、言ってはいけないとう規制を導入するのが今の流れ。“訪問販売お断り”とステッカーで明示しているところには行ってはいけない。言った場合は行政処分の対象になるという制度が(必要)」と語った。訪問営業自体が悪質というわけではないが、注意は必要。警視庁や国民生活センターは「無料だと言われても、その場では点検させない」「業者の説明をうのみにせず、複数の見積もりを取る」ことなどを呼びかけている。六法全書の映像。住宅トラブル相談:住まいるダイヤルの電話番号のテロップ。
高齢者を中心に被害が相次ぐ悪質リフォーム。警視庁に摘発された業者が使っていた営業マニュアルの内容が、NHKの取材で明らかになった。マニュアルには、契約に持ち込むまでの流れが、身ぶり手ぶりまで細かく記されている。マニュアルの内容を紹介。トラブルの相談の7割を占めていたのが、屋根のリフォーム工事。警視庁は、こうしたマニュアルが複数の業者に出回っている可能性があると見ている。捜査関係者は「リフォーム業者が集めた住宅の間取りや資産状況などの情報が別のグループに渡り、ほかの犯罪に悪用されるおそれもある」としている。
トラブルが相次ぐ背景に何があるのか。悪質リフォームの実態を知るという人物が取材に応じた。この数年、悪質リフォームに加わる若者が増えているという。屋根のリフォームなど、1件の工事代金が500万円未満の場合は、国や自治体から建設業の許可を得る必要がない。このため、業者の質が担保されず、悪質な業者が参入しやすい状況になっていると指摘されている。実際にトラブル相談の94%が、500万円未満の工事だった。
捜査関係者によると、屋根や床下などはふだん見る機会が少ないため、必要のない工事が行われたのかどうか確認するのが難しく、詐欺などで立件するにはハードルが高いのが実情。関係者の間では「捕まらない詐欺」と呼ばれているという。悪質リフォームの実態を知る人は「悪質なものに分類されるだけであって、犯罪ではない(と思っている)。自分のまわりだと罪の意識は全くない」と語った。専門家は、リフォーム業者などの訪問販売に、新たに規制を設けるなど、対策を進める必要があると指摘。リフォーム詐欺に詳しい村千鶴子弁護士は「(海外では)消費者が“来ないでくれ”と言っているところには、言ってはいけないとう規制を導入するのが今の流れ。“訪問販売お断り”とステッカーで明示しているところには行ってはいけない。言った場合は行政処分の対象になるという制度が(必要)」と語った。訪問営業自体が悪質というわけではないが、注意は必要。警視庁や国民生活センターは「無料だと言われても、その場では点検させない」「業者の説明をうのみにせず、複数の見積もりを取る」ことなどを呼びかけている。六法全書の映像。住宅トラブル相談:住まいるダイヤルの電話番号のテロップ。