大阪・関西万博に展示されているガンダム、今も世界中で多くの人に愛されている。ガンダムの原作者・富野由悠季さんが、戦後80年となる今年インタビューに応じた。作品に込めたと語るのは自身の体験を元にした、戦争のリアル。人類が宇宙に進出した未来に起こる、人間同士の戦争を描いた「機動戦士ガンダム」。1979年にTVアニメとして放送されるとロボットアニメに留まらないリアルな人間模様などが爆発的な人気を博し、日本が世界に誇るコンテンツになった。ガンダムの生みの親・富野由悠季さんは、半世紀に渡って精力的にアニメの制作に携わってきた原点には、戦争の記憶があった。1941年神奈川県小田原市で生まれた富野さん、3歳のころに目の当たりにした空襲を今も覚えているという。自宅の近くには軍事関係の電池をつくる軍需工場があった。戦後物心がつくに連れ、その工場が空襲されたことの意味を考えるようになったという。富野さんがガンダムの制作で大切にしたのは、戦争のリアル。それが現れているのが、地球連邦軍の拠点で巻き起こる冒頭の戦闘シーン。ロボット同士の戦闘であっても、戦うにも犠牲になるのも人であるという戦争の理不尽さを描いたという。ガンダムの制作から46年、富野さんは作品が人気を博す一方である葛藤を抱くようになったと話した。更に、リアルな世界で起きている戦争が自身の想像を超え始めていることに危機感があるという。今後の創作活動について訪ねると、富野さんが語ったのは戦争とは何か考え続ける大切さだった。