フランスの核戦力強化の背景には大きく2つの要因が指摘されている。1つはロシアの驚異の拡大、もう1つはアメリカ・トランプ政権のヨーロッパに対する外交方針。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から4年となるなか、ヨーロッパではロシアに対する驚異の認識が一層高まり、安全保障の体制を強化しようという動きが顕著になっている。また、「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ政権がヨーロッパの防衛にはヨーロッパ自身が責任を負うよう求めるなか、アメリカへの依存度を見直そうという動きも強まっている。フランスは世界で4番目に多い核弾頭を保有し、東西の冷戦終結後は核戦力を見直し、削減を行ってきた。そのフランスが再び核戦力強化に舵を切った背景にはこうした安全保障面での国際社会の変化があるとみられていて、マクロン大統領は演説で「これかえあの50年は核兵器の時代になる」とも言及している。演説の中で合同演習の実施などを視野にドイツやイギリス、ポーランドなど合わせて8カ国と協議を進めていると述べた。いわばフランスの「核の傘」をヨーロッパに広げようとしている。今回の件について国際NGO「ICAN」のメリッサ・パーク事務局長は「世界に核兵器が1つ増え、配備国が1つ増えるごとに使われるリスクが高まる」とコメントし、懸念を表明している。核戦力をめぐっては先月5日、アメリカとロシアの間で唯一結ばれていた核軍縮条約「新START」が失効したばかり。
