クーデターを起こした軍と民主派勢力などとの戦闘で混乱が続くミャンマーについて国連の特使が状況を報告し、軍のトップとも会談したことを明らかにするとともに、忘れられた危機になる可能性があるとして、和平プロセスを可能にする共通の土台を見いだす必要があると訴えた。国連総会で人権問題を扱う第3委員会で29日、国連でミャンマー問題を担当するビショップ特使が状況を報告した。ビショップ特使は3年前のクーデター以降、激しい戦闘が続くミャンマーの現状について“忘れられた危機になる可能性がある”として強い懸念を示した。具体的には、軍による空爆や地雷などによる民間人の犠牲が急増しているほか、人身売買や麻薬の密造といった国際犯罪の温床になっていると指摘し、「世界的な影響はもはや無視できない」と述べた。また、すべての利害関係者と関わりを持つ必要があるとして、民主派勢力だけでなく、詳細は避けたものの軍トップのミンアウンフライン司令官とも会談したことを明らかにした。ビショップ特使はあらゆる暴力を停止しなければならないとしたうえで、「混乱の中で和平プロセスを開始できるよう共通の土台を模索し続けなければならない」と述べた。