2021年8月、グリーンランドである異変がおきた。グリーンランドの標高3200メートルにある研究施設で史上始めて雨が観測された。雨は氷を溶かし氷河の下の地面で川となり海に流れ込む。この水の流れが氷河を溶かし例年の7倍もの氷が海に溶け出した。一方、その裏側の南極でも2020年2月、観測史上最高となる摂氏18.3度が記録された。重力を測定するNASAの人工衛星「GRACE-FO」がとらえたのはグリーンランドの氷の量が多く失われていることを示し、南極でも同じことがおこっていた。極地の氷が失われた場合、地表や大気の温度を下げる機能や、熱や湿度を平準化する機能などが不安定となるという。2021年8月、IPCCが発表した評価報告書によると、このままでは温暖化が後戻りできない段階に突入することが警告されている。気候システムの一部領域では温暖化はすでに手遅れの段階に進んでいると警鐘をならす気候変動研究の第一人者がいる。それはポツダム気候影響研究所のヨハン・ロックストローム博士。博士は2009年、世界の著名な科学者と共同で“惑星地球の限界”という概念を打ち出し、温暖化が惑星の限界を超え悪化すると地球の自己調節機能が失われ温暖化が温暖化をよぶ悪循環に陥り長く続くという。グリーンランドの氷が溶けることで海水温が上昇、それがグリーンランドに再び影響し氷がさらに消失しさらなる海水温の上昇につながる。大西洋での温暖化はアマゾンの熱帯雨林に波及し降水量がへり森林化が現象し二酸化炭素の吸収量がおち温暖化がさらにすすみ、太平洋に影響し海水温が上昇し南極大陸の温暖化につながるなど地球はすべて連動しており、一部が悪化すると波及するという。こうした連鎖反応のを模式化したものでは、温室効果ガスの排出が続けば今後温暖化が加速し酷暑の時代に入るという。温室効果ガスの排出をいつまでにどの程度抑えるのか、世界各国の首脳があつまり国際会議が行われたが、石炭発電廃止の合意を得ることはできなかった。国際会議を前に、国連は警鐘をならしている。
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