災害と地形との関係について研究を進めている帝京平成大学の小森次郎准教授と多摩川から車で向かうこと20分。たどりついたのは川崎市にある丘陵を訪れた。多摩川はかつて場所を変えて流れていて数万年かけて崖を削り今の形になったと小森は考えている。川が浸食する崖なので河に食に崖と書いて河食崖。一方で2017年の台風21号で大雨により土砂が流出する被害が発生。けが人はいなかったが土砂が道路を覆い住宅の敷地にも流れ込んだ。崖の一角に見えてきたのは谷。谷というのは周りに降った水が集まりやすく、土砂崩れが起きてさらにそれに水分、たくさん雨が降っていたのでそれが途中から土石流になってこの谷を流れ落ちた。川が作った崖は実は東京の住宅街にも隠れている。次に向かったのは都内の下町。23区の中央部や多摩の一部ではかつて大小さまざまな川が流れ崖ができた。その斜面は宅地化が進む中で固められ崖は見えにくくなっている。小森はこうした場所でも土砂災害は起こりうると指摘する。宅地防災に詳しい国士舘大学の橋本隆雄特任教授に崖を活用した宅地で注意すべき被害は何かを聞いた。橋本は崖を利用した宅地ではその上に盛り土をし擁壁で固めていることが多いと指摘。盛り土が水を多く含んだり擁壁が古かったりすると崩れる。斜面や擁壁に危険が迫っていないかチェックするポイントを聞いた。まずは擁壁にひび割れが起きていないか。また、草やこけが生えていないか。そして擁壁が膨らんでいないか。こうした状況が見られる場合は注意が必要だ。ハザードマップをぜひチェックしてみてほしい。