上場企業の株主総会が今月ピークを迎えているが、今存在感が高まっているのが企業に積極的に経営改革を促す株主、いわゆるアクティビスト。かつて「物言う株主」などとも呼ばれ、企業と対立するイメージもあったが、最近はアクティビストの提言を前向きに受け止めて経営の見直しを進め、株価が上昇した企業もある。株主総会のシーズンを前に先月、香港の投資ファンドが記者会見を開いた。このファンドは日本の企業に投資を行い、積極的に経営改革を要求してきた。ことしの株主総会に向けても製紙会社の北越コーポレーションに社長などの解任を求める提案をしているほか、建設会社の熊谷組にも配当の増額を求める提案を出している。このファンドのトップ、セスフィッシャー氏がNHKの単独取材に応じた。フィッシャー氏は業界や業界トップの企業を調査したうえで経営の効率性を示す指標を用いて他社よりも収益力が劣る企業を探し出し経営の改革を提言している。今月、株主総会を開催する上場企業のうちアクティビストなどからも含め株主提案を受けた企業は91社と過去最多となっている(三菱UFJ信託銀行まとめ・〜今月7日)。こうした中、アクティビストの提言を前向きに受け止めた企業もある。大日本印刷はおととし米国の投資ファンドから投資を受け、当初警戒した。面談で保有する不動産や取引先の株式の売却などを求められ、会社は経営の見直しを進め、不動産や株式の売却などの方針を具体的な数値も含めて初めて公表。さらに電気自動車向けのリチウムイオン電池の外装材などへの投資を強化する方針も打ち出した。市場もこの計画を好感し、株価はファンドによる株式取得から1年半ほどの間に2倍近くに上昇した。上場企業に対しては東京証券取引所も資本コストや株価を意識した経営に取り組みを求めていて企業が株主提案にどう向き合うのかが焦点となる。オアシスマネジメントのトップ・セスフィッシャー氏は「(日本は)最高の投資先の1つだ。技術・資産・労働力どれもすばらしい」などと話した。大日本印刷・黒柳雅文CFOは「非常に正確な分析のもとに、伸ばすべきものをもっと伸ばしていく。そういった意見を持っていた」と述べた。みずほ証券・菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「中長期的な企業の成長性が高まるような経営改革に対する要求が増えてきた」などとコメント。
住所: 東京都新宿区市谷加賀町1-1-1
URL: http://www.dnp.co.jp/
URL: http://www.dnp.co.jp/