災害の恐ろしさを改めて教訓として投げかけた西日本豪雨から6年。NHKの分析であるデータが明らかになった。10年から100年に一度の大雨が降った場合、川の氾濫で床下浸水以上の深さの浸水が想定される松山市の区域。その区域の人口を豪雨の前後で比較する人口が増加した区域がある。愛媛県全体では人口が減少傾向にあるにもかかわらず、松山市では豪雨の前よりも1200人余り増えていることが分かった。浸水リスクのある区域で人口が増えているのはなぜか。背景には利便性や地価が比較的低いことがあるという指摘がある。松山市南部の地区を取材した。この地区の多くは50センチ以上の床上浸水が想定されているが、中心部へのアクセスも良好で若い子育て世代を中心に住民が増加している。地元の専門家によると、松山市内では地価が比較的手頃な郊外のエリアが若い世代に人気があるという。およそ2900棟の住宅が被害を受け5人が死亡した大洲市でも浸水リスクがある一方で人口が増えている地区が複数あった。そのうち1つの地区では近くにインターチェンジのほか商業施設や病院などもあって移り住む人も多い。専門家、日本大学危機管理学部・秦康範教授は災害リスクのある区域での人口の増加は全国的な傾向だと指摘した上で、「市町村自身がそうした開発を抑制するようなことができればもちろん望ましいと思うが、一方で今人口減少社会であるので市町村同士で今若い世帯の取り合いになっている。より大きな単位での開発を抑制するような仕組み枠組みが必要」と述べた。