どんなに強い力士にも必ず訪れるのが引退。大鵬が横綱を張って早7年。世代交代の波が押し寄せる中、大鵬は自身の優勝回数を伸ばしていた。しかし、大鵬の体は限界を超えていた。度重なる故障で左肘は曲げることも伸ばすこともできなくなっていた。それでも土俵に上がり続けるのは「若い力士に新しい時代を切り開いてほしい」「横綱としての最後の役目は負けることだ」という強い思いがあったから。この頃、頭角を現した貴ノ花。昭和46年の初場所、大鵬は貴ノ花を迎え撃つ。大鵬は何とか勝ったものの、貴ノ花の左脚に大けがを負わせてしまう。貴ノ花は翌日から休場。「力のある若者に申し訳ないことをした」と大鵬は心を痛めた。その年の夏場所、不屈の精神で蘇った貴ノ花は再び大鵬に挑む。そして、貴ノ花が勝利。その翌日、大鵬は引退を発表した。
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