東京・豊洲にあるマギーズ東京は、がんの当事者や家族、遺族などが予約なしで無料で相談できる場所。がんを専門に支援してきた看護師や公認心理師などが、様々な思いに寄り添っている。1年半前に姉を亡くした女性は、気分の落ち込みがひどくなり、5か月間休職を余儀なくされた。その後、職場には復帰したが定期的に相談に通っている。スタッフは無理に話を促そうとせず、遺族の言葉に耳を傾ける。ここに相談したことで、少しずつ前を向けるようになったという人がいる。高村樹子さんは1年半前、息子の泰河さんを大腸がんで亡くした。泰河さんが、がんの診断を受けたのは高校2年の時で、手術を受けることを選択した。再発を防ぐため、高校に通いながら約半年間、抗がん剤の投与を続けた。倦怠感や手足のしびれなど副作用に苦しみながらも、大学に合格。しかし大学1年の秋、がんを再発。1年後には膀胱に転移し、入退院を繰り返した。家族はその都度、治療の選択と決断を重ね、6年、共にがんと闘った。泰河さんを亡くした直後、樹子さんの心と体に異変があらわれた。呼吸ができなくなるような苦しさを感じたり、日常生活の中で不安を抱えるようになった。他の家族も泰河さんを亡くした悲しみの中、樹子さんをどう支えればいいか、わからなくなる時もあったという。家にこもりがちになった樹子さんが、なんとかしたいと助けを求めたのがマギーズ東京だった。ここは泰河さんが闘病中、相談に乗ってもらっていた場所でもある。泰河さんを知っている人たちと安心して話せることで、思い出すことが苦しいものではなくなっていったという。さらに支えとなったのは、がんで家族を亡くした遺族の集まり。つらいことを共有したり、悲しいときの対処法などを聞いたりするうちに、沈んでいた気持ちが少しずつ軽くなっていった。今、取り組めるようになったことはパステルアート。
