骨髄移植などのあとに免疫の反応で重い合併症が起こることがあるが、大阪公立大学などのグループはこの合併症に関わるとされる腸内細菌を突き止め、特殊な酵素で除去することにマウスの実験で成功したと発表した。この合併症の新たな治療法につながる可能性があるとして注目されている。この研究は大阪公立大学の植松智教授らのグループが科学雑誌ネイチャーで発表。白血病の治療では骨髄など血液の元となる細胞の移植が行われるが、この際、移植した免疫細胞の反応によって重い合併症が起きることがある。グループでは、この合併症の患者では「エンテロコッカス属」という腸内細菌のうち毒素を多く出す菌が増えていることを突き止め、その遺伝子を詳しく解析することで菌を壊すことができる特殊な酵素を特定した。グループが合併症の症状を起こさせたマウスにこの酵素を投与して菌を除去した場合と除去しなかった場合を比べたところ、除去しなかったマウスは4割から5割が死んだが、除去したマウスは1匹も死ななかったという。