さまざまな事情で実の親と暮らせない子どもは全国に4万人以上いる。一定期間、家族の一員として受け入れる制度が「里親」。里親になった夫婦の暮らしを取材した。
ケンカをしていたかと思えば一緒に歌を歌っている。一見よくいる3姉妹、5人家族だが実は長女以外の2人の子どもに血の繋がりはない。大阪市に住む渕之上さん夫婦が5年前にはじめたのが「養育里親」。大家族に憧れがあった渕之上さんはさまざまな制度を調べるうちに養育里親を知った。養育里親とは虐待や経済的事情などで親元を離れた子どもを期限付きで受け入れ、家族として暮らす制度。戸籍上の親子関係は結ばない。緊急的に子どもを預かる場合もあれば、里子として大人になるまで育て上げる場合もある。いまは7歳の実子とともに4歳と2歳の2人を里子として育てている。これまで受け入れたのは5年間で24人。事情はさまざまだった。シングルの家庭が多いそうで、2人目を出産する・病気になったなどで手術をしなければならない場合など、本当は手放したくないがその期間は自分で見られないという事情の人もいるが、多くは虐待やネグレクトにあった子どもたち。親元を離れて暮らす子どもは全国に約4万2,000人と言われている。近年、国は養護施設での集団養育から里親など家庭養育への転換を推し進めている。特定の大人との愛着形成が子どもの健全な成長に重要とされているため。しかし里親のもとで暮らせるのはわずか2割程度。多くは養護施設で育つなど、里親の数が足りていない。
この日開かれたのは里親を目指す人が受ける登録前研修。子どもが欲しくてもできない夫婦や、子育てが一段落し社会貢献を志す人などが参加している。里親制度や子どもの養育に関する知識・心構えを得ることが目的で、この日は里子を迎えた後の生活の変化を考えた。参加した女性の1人は「実子がいるんですけど、男の子で。2人目がほしいとなったときに私が病気になっちゃって子どもが望めなくなったんです。悲しみに暮れていたんですが、こういうのがあるって知って子どもが望めるんだと知った」と話す。ただ、里親になりたいと決心するまでには葛藤もあったという。「里親になりたい」という願いの裏にはさまざまな思いがある。
いつも明るい4歳のはるかちゃんは、里子として渕之上さん夫婦のもとに来た2年前から体操教室に通っている。いまは小学校への進学を目処に実の親元に戻る予定だが「想像したくないですね」と語る。夏休みなどの長期休みに行われるのが里親会が主催する交流会。養子縁組や養育里親の家庭が集まり、必要な知識を学び交流を図る。養育里親の登録者全体のうち、実際に受け入れに至っているのは約3割程度。理想とのギャップや周りに同じ境遇の人がおらず孤立するなど里親ならではの悩みも多く、里親同士のつながりが大切だという。ありふれた日常、ささやかな幸せ、どんな家族の形でも変わることはない。渕之上さんは「みんながお姉ちゃんって呼び合ったり妹って言ったりする。そこもすごいなって。僕らが特別教えたわけでもない」などと話す。里親になりたいという人は最寄りの児童相談所まで。
ケンカをしていたかと思えば一緒に歌を歌っている。一見よくいる3姉妹、5人家族だが実は長女以外の2人の子どもに血の繋がりはない。大阪市に住む渕之上さん夫婦が5年前にはじめたのが「養育里親」。大家族に憧れがあった渕之上さんはさまざまな制度を調べるうちに養育里親を知った。養育里親とは虐待や経済的事情などで親元を離れた子どもを期限付きで受け入れ、家族として暮らす制度。戸籍上の親子関係は結ばない。緊急的に子どもを預かる場合もあれば、里子として大人になるまで育て上げる場合もある。いまは7歳の実子とともに4歳と2歳の2人を里子として育てている。これまで受け入れたのは5年間で24人。事情はさまざまだった。シングルの家庭が多いそうで、2人目を出産する・病気になったなどで手術をしなければならない場合など、本当は手放したくないがその期間は自分で見られないという事情の人もいるが、多くは虐待やネグレクトにあった子どもたち。親元を離れて暮らす子どもは全国に約4万2,000人と言われている。近年、国は養護施設での集団養育から里親など家庭養育への転換を推し進めている。特定の大人との愛着形成が子どもの健全な成長に重要とされているため。しかし里親のもとで暮らせるのはわずか2割程度。多くは養護施設で育つなど、里親の数が足りていない。
この日開かれたのは里親を目指す人が受ける登録前研修。子どもが欲しくてもできない夫婦や、子育てが一段落し社会貢献を志す人などが参加している。里親制度や子どもの養育に関する知識・心構えを得ることが目的で、この日は里子を迎えた後の生活の変化を考えた。参加した女性の1人は「実子がいるんですけど、男の子で。2人目がほしいとなったときに私が病気になっちゃって子どもが望めなくなったんです。悲しみに暮れていたんですが、こういうのがあるって知って子どもが望めるんだと知った」と話す。ただ、里親になりたいと決心するまでには葛藤もあったという。「里親になりたい」という願いの裏にはさまざまな思いがある。
いつも明るい4歳のはるかちゃんは、里子として渕之上さん夫婦のもとに来た2年前から体操教室に通っている。いまは小学校への進学を目処に実の親元に戻る予定だが「想像したくないですね」と語る。夏休みなどの長期休みに行われるのが里親会が主催する交流会。養子縁組や養育里親の家庭が集まり、必要な知識を学び交流を図る。養育里親の登録者全体のうち、実際に受け入れに至っているのは約3割程度。理想とのギャップや周りに同じ境遇の人がおらず孤立するなど里親ならではの悩みも多く、里親同士のつながりが大切だという。ありふれた日常、ささやかな幸せ、どんな家族の形でも変わることはない。渕之上さんは「みんながお姉ちゃんって呼び合ったり妹って言ったりする。そこもすごいなって。僕らが特別教えたわけでもない」などと話す。里親になりたいという人は最寄りの児童相談所まで。
